2種類のみかん「選べない問題」 価値をどう伝える? 選びやすくなる?

「どう違うんだろう?」って分からなかったんです。駅構内のお店に2種類のみかんがドドーンと置かれていました。それぞれ袋にたっぷり詰まっていました。量は同じくらい。みかんのサイズも同じくらい。値段も同じ。素人目には色も見分けがつかない。

違うのは1つ。素人目に違いが判るのは1つだけ。

「産地名」でした。


こんにちは!気になる販促研究家のまきやです。商品の「価値」って、ちゃんと伝わるようにしてあげないともったいないし、かわいそうだなって感じました。

コロナショックでお客さまの買い物は厳選されているし、ネット通販も増えてます。他と見分けがつかない商品は買いづらくなっていると思うんです。安売り競争に入ってしまうと、競合は全国になるから底なし沼だし、粗利がまったくなくなる悲惨な状態に陥っちゃう。商品の気持ちになってみても、価値で買われていないとちゃんと味わってもらえない…かわいそう。

いい商品なら、ちゃんと価値を伝えなきゃ。

いや、ちゃんと価値が「伝わる」ようにしなきゃ。と改めて感じているんです。

※大きなことを言うと、そちらに向いていくことが日本を復活させるとも思っています。

 


たとえば、冒頭で紹介した2種類のみかん。素人には違いがまったく分からないんです。ほんと分からなくって。産地名は書いてあるんです。そこが違うのは分かるけど、みかん自体がどう違うのかわからない。

だから「選びようがない」んです。買えない…。

「選べない問題」発生です。たぶん、この売り場ではボクのように「選べないから、買い物の選択肢から外れた」というお客さまが割と多くいると思います。売上を損している可能性があります。あくまでも予想ですけど、たぶんあってる。

売上を損しているだけならお店の責任範囲ですけど、それはもっといろんな影響を意味します。農家さんの売上や収入にも影響しますし、お客さまにも影響します。「本当なら買って得られた大満足の機会を失っている」とも言えるからです。

やっぱりいい商品を扱ったなら、扱った責任は生じます。お客さまに全力で価値が伝わるようにして、買い物を楽しんで頂くことがいいと思うんです。

※「口では簡単に言えるよ」って思いますよね…?すみませんです。

価値が伝われば、安売りしなくても買っていただけるので粗利も高まって経営も楽になります。これからはそちらに向かって努力・工夫をしていかないと、ホントどんどん厳しくなると思うんです(煽ってるわけじゃなくて本当にそう思います)。

何とかしなきゃ。
何とかしなきゃです。

 


冒頭のみかんに戻りますね。具体的に、どんな切り口で伝えるか。

ボクはみかんのプロではないし、この商品のことを取材したわけではないので詳しい情報は分かりません。なので、切り口の例を5つ挙げてみますね。これなら他業種・他商品でも参考になるかと思いますので。

1:2つの違いを比較する

まずはシンプルな案。
「左は、糖度が高い(甘い)です。
 右は、糖度が低めでカロリーも抑えめです」とか

※どちらかをマイナス表現するのはお店としては難しいと思います。 なのでどちらもプラス表現で。

2:それぞれの特徴を表現する

それぞれのみかんに特徴があるならそれを伝えたいところ。あるならですが。

・左のみかん「皮をむきやすいです」
・右のみかん「あと味の余韻が長く続きます」とか

たとえばですよ。これはボクが切り口の例としてあげているだけです。

 

3:用途をイメージできるようにする

特徴のつづきなんですが、それぞれ向く用途があれば表現しやすいです(お魚では、同じ魚種でも刺身向き・焼き物向きなど違いがあるらしいです)。

・左のみかん「冷やしてさらにおいしい」
・右のみかん「サンドイッチにピッタリ」とか

しつこいですけど、たとえばですよ。

4:あえて、2つに差をつける

そうはいっても「実は商品にはあまり違いがないんだよ」ということもあると思います。産地の違いといってもそれほど違いはないかもしれないですよね。そしたら販売者があえて差をつけみます。その方が、お客さまが買いやすくなるから。

・左のみかんは3個入り 198円
・右のみかんは6個入り 398円

例えば、こういう風に分けると、お客さまは品質や味わいではなくて「量」を基準にして選びやすくなりますでしょう?商品の「価値を伝える」のとは違うんですけど「お客さまが選びやすくなる」という意味ではこれもありです。

5:選び方の基準を教える

産地の違いはいったん置いといて、お客さまが自分で納得してみかんを選べるように選ぶ基準を伝えてみる。

「色が○○なほど、糖度が高いです」
「模様に○○があると、食べごろです」
「ヘタが〇〇なほど、味が○○です」
「すぐ食べきっちゃう人はこっち、
 1週間くらいかけて食べる方はこっち」とか

たとえばこんな感じです。そういう選び方の基準が頭に入れば、お客さまは自分でいいものを探そうと選んでくれます。選びやすくなりますよね。「選びづらい問題」から脱出できます。

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いかがでしょうか?今回はみかんを題材にしましたけど、お客さまが抱える「選びづらい問題」は割と多くのお店で起きている可能性があります。プロならすぐわかることでもお客さまは分かりません。それをいかに察知してお伝えしていけるかって大事ですね。売上・業績にも直結しそうに思えませんか?

 

【今回のポイント】

●プロには当たり前のことも、お客さまには伝えないと分からない。「選べない問題」が多発しているかもしれない

●価値を伝える5つの切り口例
 1:2つの違いを比較する
 2:それぞれの特徴を表現する
 3:用途をイメージできるようにする
 4:あえて、2つに差をつける
 5:選び方の基準を教える

 

今日のネタ、参考になりましたでしょうか?少しでもご商売に役立っていたら、しあわせです(*´ω`*)

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■書いた人…気になるづくりの専門家・まきやさねゆき(Twitter