評判を意図的に設計できるのか?(心にこびりつくしかけ設計)

評判を意図的に設計できるのか?

答えは、半分Noで半分YESです。

評判は広告じゃありません。語りたくなったお客さまがジワジワと広げてくれるのが評判です。どんなにお金を払ってもしてもらえるものではありませんし、「いいお店なら自動的に評判が起きるか」というとそうでもありません。でも、事前に意図的な設計をしておくことで、お客さまが語りやすくなり、語る場面を増やすことは可能です。

実際には、お客さまが語っている場面(評判を広めてくれる場面)にお店の人が出くわすことはありませんので、ハッキリと見届けることはできません。いつまでも仮説でしかないのですが、これまでの経験から「場面設定」と「語れるフレーズ設計」をしておくことで、評判が起きやすい感をつかみましたので、少し共有させて頂きますね。ぜひ「あなたのお店なら、どんな事前設計ができるか」考えながら読んでみてください。うまくいけば、ようやく努力が報われて、お金をかけずに評判の人気店になっていくかもしれませんよ。

数年前にボクがお仕事をご一緒していた、焼き鳥店(むちゃくちゃこだわる職人さんのお店)を見本にお伝えしますね(内容は若干変更してあります)

※本記事で取り扱うパターンは評判のすべてではありません。事前設計をすることで確率を高められる評判の1つです。予めご容赦下さいませ。


こだわり、では足りない。

その焼き鳥店の店主さんは、とてもとてもこだわりのある方でした。調理法もこだわっていましたが、今回は「素材選び」のこだわりを題材にします。鶏肉というと「地鶏がよさそう」なイメージもありますが、そのお店が選んだのは地鶏ではありませんでした。選んでいたのは国産の銘柄鶏です。生産者さんもすごくこだわって飼育している鶏です(そういうこだわりの鶏は全国に他にもあると思います)。この職人さんが選んだ決め手は一つでした。

 

朝〆めの鶏が毎日手に入ること

 

※写真はイメージです。

 

鶏肉の卸会社さんと相談をして、営業日に毎日、その日の朝〆めた鳥が手に入る銘柄を選んだそうです。どうしてそんな選び方をしたかというと「鶏は鮮度が命」だからです。牛肉や豚肉と違って鶏肉は鮮度がだいじ。1日経つと味が変わるのだそうです(厳密には〆めた瞬間でなく、少し時間が経ってからがいいらしい)。特に、脂身の少ない胸肉は味の違いがよくわかるそうです(「胸肉」はうろ覚えです。間違っていたらごめんなさい)。

こうした情報をお客さまに伝えます。とはいっても、押しつけがましくこだわりを語るとお客さまに嫌がられるので、会話の中でだったり販促物の中で語ります。ボクも当時、その会話が始まりやすい「しかけブック」を制作してお手伝いしていました。焼き鳥屋さんですが、逸品のおつまみも用意があります。その中に「鮮度が一番よくわかるメニュー」も明示していました(ボクはそのしかけブックを作っていました)。上のような鶏肉の情報を得ながら食べたお客さまは「確かにうまいな」「鮮度がいいと、こんな舌ざわりなんだ」と、いつもより実感をしてくれます。

その結果、お客さまの頭の中に「語れるうんちく・知識」が埋め込まれることになります。

・鶏は鮮度が命。1日経つと味が変わる

・朝〆めの鶏を扱っているお店はこだわっている

・鮮度がよくわかるのは、胸肉

こんな情報です。これがだいじ。この「語れるうんちく」が後日、評判の種になります。


評判は、語られやすい場面がある。

評判は、お客さまが来店してるときに起きるものではありません。後日、お店じゃないところで起きるものです。ただし「いいお店なら自動的に評判が起きるか」というとそうでもありません(そうでしょう?)。評判は語られやすい場面があるからです。先ほどの「語れるうんちく」を手にしたお客さまが、後日別の知人と、別の焼き鳥屋さんに行ったとしましょう。

そしてメニューを見たり、お店のこだわりを見たりします。

 

「ん?先日行ったお店ほどこだわっていないかも…」

 

こうなると、評判の種が芽を出すチャンスです。知人に語りだすかもしれません。

「そういえば、鶏肉って鮮度が命なんだって。1日経つだけでも味が変わるんだってさ」

「へぇ、そうなの!」

「そう、だから朝〆めの鶏がうまいらしいよ」

「そうなんだ!それどこで知ったの?」

「こないだ行った焼き鳥屋さんでね。中でも鮮度が一番よくわかるのは胸肉なんだって。胸肉の料理を食べたら舌触りがちがったよ」

「いいなぁ…どこのお店?今度行こうよ!」

こんな会話が起きているかもしれません(上の会話は想像です)。別のお店に行った時に、違うお店の自慢をするのはためらうかもしれませんが「語れるうんちく」が登場する可能性は十分にあります。語れるうんちくが登場すれば、お店の情報も一緒に登場する可能性が高まります。こうなったら、1つの評判ですよね? ボクがご一緒していた焼き鳥店はどんどん人気店になっていきましたから、おそらくこういう評判があちらこちらであったんじゃないかと思うんです。目には見えないのであくまでも想像なんですけど(人気店になっていったのはホントウ)。

当時は意図的に設計したわけではありませんでしたが、結果的にはそうなっていたんです、おそらく。

振り返りとともに、意図的に評判を設計する要点を3つにまとめますね。


意図的に評判を起こす3つの要点+1

1:語れるうんちくがあること(いいリアクションが起きること)

2:語れるうんちくは、お店のことではなく一般的なテーマであること

3:語れる場面が、そこそこの頻度であること

+1:当然ですが、それに合う商品を自店が提供していること

1つ目の要点は「語れるうんちく」です。お客さまの記憶に残ってしゃべれる状態であること。ストーリーだったりインパクトのあるエピソードだったり、納得の理由やキーワードが必要です。そして、それを語った時に相手がいいリアクションをしてくれることも大事です。リアクションが起きない話題はしゃべりがいがありませんから(これはクチコミ策全般に言えることです)

2つ目の要点は「お店やお店の商品」ではないこと。これは盲点かもしれません。お店は自分のこだわりや、商品のこだわりを伝えたくなりますから。お客さまが語りやすいのは商品の凄みよりも「一般的なうんちく」です。それを意識して提供することです。

3つ目の要点は「語れる場面の頻度」です。他のお店に行った時に「そういえば」と思い出して語ったり、何か出来事があった時に「そういえば」と思い出して語りだす。日常生活でそこそこの頻度がないと、この手の評判は起きづらいでしょう。どんな場面なら語りやすいかを具体的に想定しておきたいものです(それに合わせて、うんちくを設計できたらしめたもの)

最後は、その語れるうんちくに見合う商品を自店が提供していることです。当たり前ですね。

 

説明すれば簡単に見えるかもしれませんが、実はそんなに簡単じゃありません。そもそも、お客さまが語って紹介した時に誇れるお店・自慢のお店であるかどうか。それがあって初めてこの意図的な評判設計は活きます。意図的に設計すれば確実に評判になるかというと、確実ではありません。すみません。でも、何も意図せずに「頑張っている」だけよりは、可能性が格段にあがることは間違いないでしょう?(そう思いません?)

 

地域の評判の繁盛店ってあこがれませんか?

この視点、少しでもご商売のヒントになりますでしょうか?

▼本記事を書いた時点での評判分類です(まだ進化すると思います)

 

読んで頂きありがとうございました!2021年、必死こいて生き抜きましょう!

 

まきやより

 

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