デリバリー・テイクアウトは、価値が失われていることを強烈に意識した方がいい(具体策3つ)

価値が失われています。飲食店のデリバリーやテイクアウトでは。それを強烈に意識して運営しないとお客さまには満足してもらえないし、2回目の注文や購入も叶わないでしょう。この記事は新型コロナウイルスの影響により急いでデリバリーやテイクアウトを始めたお店向けです。

こんにちは。しかけデザイナーのまきやさねゆき(眞喜屋実行)と申します。現在はボク自身もデリバリー販促の準備をしています。お仕事をご一緒している都内の居酒屋さんがデリバリーを始めるので、そのお手伝いです(販促の企画屋をしています)。やるなら長期でちゃんとやりたいということで、ここ最近はUberEatsで注文して研究をしています(とっても便利ですね、ほんと便利)。

そして何度か注文したりテイクアウト商品を買う中で、気づいたというか疑問がわきました。


価値が失われていることを、

お店が意識していないのではないか?

飲食店の料理って、店内で食べるのとテイクアウトやデリバリーで食べるのでは全く価値が違います。店内で食べるよりも価値が失われているんです。ごく当たり前のことですが「美味しいものを作ること」に集中をしてしまうと、気が回らなくなってしまうんじゃないかと疑問がわきました。

そもそも、飲食店でお客さまが感じ取る価値はこの5要素あたりかと思います。

以前からQSCという言葉があります。

■Q:クオリティ(品質):主に料理の味のこと

■S:サービス(接客サービス):店員さんの心配り

■C:クレンリネス(清潔感など):清潔に保たれた店内で安心信頼できること

さらにAが加わることもあります。

■A:アトモスフィア(雰囲気):店内の造作や店主の人がらも含めて

さらに最近は、SNS社会なのでこの要素も加わるでしょう。

■シェアネタ:写真に撮ってSNSに投稿できるネタ提供

この辺りを総合して、お客さまは店内での食事を楽しんで下さいます。それがお客さまが体験する価値です。ですが、デリバリーやテイクアウトになると、この5要素すべてを提供することができなくなります。


デリバリー・テイクアウトでは3要素が失われる。しかも、

こうなります。グレー部分は価値を提供できなくなっている部分です。お料理をお持ち帰り頂いたりお届けするので、「品質(味)」は残ります(ただし、品質についても、原則は時間経過とともに落ちる一方だということも意識した方がいいと思う。逆手に取る方法もあるけど)。「信頼・清潔感」については、包材や盛り付け方である程度は伝わりますが、店内で感じるほどではありません。なのでグレー表記にしました。テイクアウトの場合は、店頭で購入するのである程度雰囲気は伝わりますが、買った人と食べる人が異なる場合は伝わらなくなります。

先ほどの5要素の内3要素が失われるんです。お客さまが店内で食事をするときと比べて圧倒的に価値が落ちる。満足度が落ちるのは当たり前ですよね?でも、それを意識していないお店が多いんじゃないかと思うのです(少なくとも、ボクが数回の注文をした段階ではそう感じています)。誤解だといいんだけど、そうでもない気がしていて。

しかも、「味」のほかに残った「シェアネタ」についても、多くのお店では意識されていないように思います(意識しているお店はあると思う)。

デリバリーやテイクアウトで購入するお客さまはどんな状況でしょうか?本当は外食をしたいのに我慢している場合が多いのではないでしょうか?本当は友だちや同僚と一緒にワイワイと楽しみながら食事をしたいけど、叶わないからデリバリーやテイクアウトをしている。そんな状況が多いかと思います(ランチが多いかディナーが多いかは立地によって変わりそうですね)。ということは、誰かと話題が盛り上がるネタを提供することはそれ自体が価値になります。SNS映えする見栄えにしたり、魅せたくなるグッズを同封したらいいのに…って思うんです(見せたくなるグッズは、しかけ次第です)。

要するに、5つの価値要素の内4つを失ったまま提供しているお店が多いんじゃないかという疑問がわいているんです。もしそうなら、お客さまの満足度は高まりません。2回3回の注文にはつながらないでしょう。

※「料理さえおいしければ、分かってもらえる」と思い込みたいのも分かります。おそらく分かってくれる舌の肥えたお客さまもいることでしょう。でも、多くの場合は店内の雰囲気や接客も含めて美味しさを味わうので…。


どうやって価値を高めるか?

デリバリーやテイクアウトでの価値の高め方を、具体策で話していきます(これはボクがお手伝いしているお店でもやっていこうとしているアイデアの一部です。すべてやるか分からないし、状況によって変更はしますけど)。

1:本格感を演出する・伝える(チラシや食べ方シートなどで)

雰囲気要素を補完する策です。お料理だけでは伝わらないことも、情報で補完して本格的な雰囲気を感じて頂けるようになります。こだわりを伝えることで、より味わって頂くこともできます(特に「この素材が」とか「この香りが」という表現をすると、そこを味わってくれやすくなります)。お客さまにより価値を感じて満足頂けるようにすることができます。もちろん販促グッズは読まないお客さまもいるので、全員にとはいきませんが何割かは読んでくれるはず(文字は多すぎない方がいいですね、あとつい読んじゃうしかけも入れときたい)。

そして、「人」を前面に出すといいと考えています。デリバリーやテイクアウトは地域密着のビジネスになります。何度もご利用頂きたいですから、お店や作った人に対しても親近感を得て頂いたり、感情移入してもらえた方がいい。好きになってもらえますから。料理だけよりも人がらを感じることで「好き」」になって頂ける可能性は高いです。店内で飲食頂く場合は知らないうちに人がらは伝わっていますからね。添付する販促物にはオーナーやシェフのプロフィールや趣味やご家族のこと、ちょっとしたドジなエピソードなどがあるとより親近感を得て頂けるでしょう(こういうのを「本質じゃない」って思いますか? ボクなら、やります)。

2:衛生管理シートを添付する

信頼・清潔感を保管する具体策です。あまり想像したくないんですけど、テイクアウトやデリバリー販売をするお店が急増していることもあり、どこかで食中毒が発生することが考えられます。店内で食べるよりもどうしても可能性が高まってしまう…そうならないように対策はできる限りしていると思いますが。でも、どこかのお店で発生したニュースが報じられると、お客さまは心配になります。より安心して注文できるお店に頼みたくなるでしょう。ですのでお店で行っている衛生管理をまとめたシートも作って同封したりWEB上に掲載することをおすすめします。「1」の販促物を作るなら、その中に衛生管理コーナーを設けておくのでいいでしょう。

3:SNSネタを提供する

シェアネタを強化する策です。やりたくないお店はやらなくてもいいです。お店のイメージもありますから。料理を包む包材になにかしかけをしたり、お料理自体にSNS映えするしかけをします。シンプルなのは、お料理ににこちゃんマークなどをつけたり、動物の型どりをした素材を添付することかな。店内ではいろいろと工夫しているお店も多いので、デリバリーやテイクアウトでも発揮してほしいなあと思うんです。飲食店さんのそういう創造力ってスゴイですから。

またデリバリーやテイクアウトにしかない特徴として「包材」があります。弁当容器や包みいれる袋。また同封する販促物も含みます。これは店内で提供するときにはない物。見方を変えると「新たな武器」とも見えます。これをどう生かすか、創造力の発揮しドコロですね(そういうのを考えるのはボクも大好きです)


価値を失わずに、新たな価値づくりを。

放っておくと、価値を失うだけのテイクアウト・デリバリーですが、見方を変えると新しい価値を生み出すことができるはず!上に書いた3つがすべてじゃないし、きっともっとできます!もっとできるはず!苦しい時期ですが、取り組むならお客さまに喜んで頂ける価値をとことん生み出しましょう!

※衛生管理はホントちゃんとやりましょうね(専門家の指導を受けながらいいと思う。ほんと怖いですから)。

 

口コミの種まきグッズ&しかけ。プランナーまきやさねゆき

 

 

▼まじめな商人さんのお役に立ちたくて、グッズ制作しています。

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■書いた人…気になるづくりの専門家・まきやさねゆき(Twitter